🪙 精錬：リオン鉱石とその価値

天空の島々の深奥に眠る希少鉱石――それが「リオン鉱石」である。
掌ほどの小粒ながら、角度によって七色の光を放つ。
古来より「勇気と繁栄の象徴」とされ、
その原石の形が獅子（Lion）の前顔に似ていたことから、その名がついた。

リオン鉱石は"王の力を宿す石"として崇められ、
後に王国通貨の礎となった。
それは単なる鉱物ではなく、
「行動と勇気の結晶」――王国の富と精神の象徴である。

冒険者が採掘したリオン鉱石は、王立精錬所へと運ばれる。
そこでは、ギルドに所属する熟練の精錬士たちが、
魔導と工学を融合した技術で鉱石を精錬（不純物の除去）し、
鋳造（価値への転換）を行う。
こうして生み出されるのが、王国経済を支える通貨「リオン」である。

鋳造されたリオンは、王国の物流再生のために市場へと放たれ、
その循環によって経済が動き、繁栄が保たれている。

冒険者が携わるのは、この「精錬」までの工程であり、
鋳造や流通は王国の手によって行われる。

そのため、冒険者は自らが携わった精錬の功績に応じて、
王国からギフトや商品などの「感謝の証」を受け取ることができる。

誓符契約は、命と信を同時に刻む、王国固有の誓約である。
冒険者の名が刻まれた符板に指を触れ、魔力紋を刻み、魔力を通わせる――
その瞬間、符は二つに割れる。

一方は王立精錬所へ、
もう一方は契約者の手に渡される符（通称：プレート）となる。

魔力は魂の形、指紋は命の証。
両者が交わって生まれる"誓符紋"は、
二つの符を重ねることで真なる契約者を識別する。

そして、契約者のもとに残るプレートには 蓄光石 が組み込まれている。
蓄光石とは、冒険者が成した挑戦や任務の"歩み"を光として蓄える特別な石であり、
蓄えた光が一定に満ちると "ルミナ" となって昇華し、
冒険者を護る力を帯びる。

初めて精錬を行う際、冒険者はこの誓符契約を結び、
以後の錬成や取引は、この識別符によって契約者を特定する。

かつて誓符契約は、鋳造されたリオンに契約者の"誓符紋"を刻み、
その功績を永遠に残すためのものであった。
だが時が経ち、リオンの偽造や鉱石の横流しが横行するようになり、
現在では "功績の印" から、"秩序と信頼を守る鍵" へと役割を変えている。